インドへ行ってきました(1)

 住職は、実に28年ぶりにインドへ行って参りました。約1週間の間、皆様にはご迷惑をおかけしましたが、「ならでは」の経験もたくさんできた、実りのある旅であったと思っています。元々は「前住職の分骨を納めてくる」というのが目的であったのですが、せっかく飛行機に乗って行きますので、何か学べることを…とも考えておりました。
 ツアーは「インド日本寺創立50周年式典」への参加として、「佐々木閑先生と行く」と冠しておりました。佐々木先生は仏教学(インドの原始仏教からの変遷)がご専門で、前住職とも近いご専門。インド渡航歴ももちろん多数で、なかでも仏教学の変遷を、その時々の人々の感情や思いに言及されながら紐解いて下さるので、とても人気のある先生です。
 まずは羽田から空路9時間でデリーへ。前回は「街灯のない山道を、何だか得体の知れない匂いの中で、古い車に便乗して市街へ向かう」という記憶なのですが、「エアロシティ」という空港周辺整備によって、すっかり現代的に造り替えられていました。噂に聞く大気汚染は感じましたが、「空気が澄んでいないな」という程度で「マスクマスク!」という程ではありませんでした。
 一泊ののち、国内線でパトナへ、そしてナーランダ僧院遺跡へ。こちらは巨大な仏教(だけでない)総合大学で、世界中からお坊さんが学びに来ていたのですが、その後12世紀にイスラム教徒の襲撃にあい、お坊さんも全員殺害、建物は壊され、図書も全て焼かれて(一ヶ月かかったとのこと)文字通り廃墟となってしまいました。時代が流れ「何だかたくさんレンガの取れる場所」としか分からなくなっていたものを、7世紀にここに滞在した三蔵法師の旅行記を解読した考古学者が場所を特定し、仏教遺跡であることが判明して保存されるようになった、とのこと。「三蔵法師ありがたし」と思いながらキャンパス(?)内を散策していると、今でも発掘が続いているのかレンガを掃除している人を見かけました。
 現在日本で使われている大乗仏教というグループ、そのお経は三蔵法師が自国に持ち帰ったものが源泉になっています。非常に多くの人たちが真理を求め、そしてそれを広め伝えた方がいてこその日本仏教であると、その重みを噛みしめたのでした。

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