逆レッテル

 先日のWBC(世界野球大会?)では、大谷選手の「試合前の声出し」が報道されました。

 僕から1個だけ。憧れるのを、やめましょう。…野球やっていれば誰しもが聞いたことがあるような選手たちがいると思うんですけど、今日1日だけは、やっぱ憧れてしまったら超えられないんで。僕らは、今日、超えるために、トップになるために来たんで。今日1日だけは彼らへの憧れを捨てて、勝つことだけ考えていきましょう。さあ、行こう!

LivedoorNewsより転載

 いやぁ…かっこいいですね。最初に結論を言って、その後で具体例とか背景とか願いとかねらいを言っていく、その構成にも痺れます。ここでやっていることは、先日の「見方を変える」ですね。いわば「憧れの相手、というプラスのレッテルを剥がす」という。仏教で言う「正見」に近づこうとしている態度と見えます。
 この「見方を変える」ことが行動(プレー)の変化につながり、試合結果にも影響したのかもしれません。相手や自分の実力そのものに変化はなくても、縁は変化したのだろうと思います。そう考えてみると、「相手が全く変わらなくても、自分の捉え方次第で変化が起きた事例」と言えそうですね。

 もちろん、これは試合前の話。もし日本が負けてしまったとしたら、この話は世に出なかったのかも…それでも「憧れを捨ててプレーしよう」という言葉や態度には、価値があると思います。勝負ではなく、プレーそのものに意味を与えていたと。

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