それぞれの生き方

 人間だけではなく、植物たちも色んな種類が一緒に生きています。お寺の庭はそれなりの広さですけれど、場所によっては窮屈と見えるほどに密集して生えています。(そして住職が、躍起になって蜜柑を植えていますが)ほとんどの花が終わった11月の今、探してみると「ホトトギス」が咲いているのに気付きました。

 花びらに、しっかりと模様があるのですが、それはむしろ「自らを目立たなくする」方に作用しているかに見えます。何の気なしに歩いているだけでは気づかないのではないか…ひっそり咲いているように見えるのです。
 この花、調べてみると「花期が長く、7〜10月におよぶこともある」とのことで、「百日紅」の3ヶ月より長いとすると、現在ある中で最長のようです。背も低く、目立たない…けれど花が長い。それには、相応の理由があるようです。

 何でも、ホトトギスは他の植物との競合に弱くて鉢植えがお奨めなのだとか。つまり自分から「ガンガン前に出る」タイプではないのですね。だから控えめにする。高さだって1m未満です。ですけれど、長く開花することで(何かを)取り返す。もしかしたら、夏に咲く花達を見送る、という言い方もできるかも知れません。自分より後に伸びてきた(ヒガンバナとか)が、アッと言う間に咲いて、枯れて倒れていく。それを、目立たない模様と大きさで、じっと見ている。それがこの花の「生き方」なのかも知れません。
 人間だって、「老少不定」と、「必ずしも先に生まれたものが先に行くものではない」と言いますが、「それすら、悲しむことではない」と、この花は言っているのかも知れません。

今、たまたま「ホトトギス」を調べていて、鳥の鳴き声をBGMにしてページを書いているけれど、なかなか気持ちがいい。山の中にいるみたいで。ホームーページって、どうにも「見るだけ」になりがちだから、(邪魔にならない)音が聞こえているのって心地いいですわい。

前の記事

大叔父を送る

次の記事

一緒にやろう