ブッダガヤにて(インド3)
いよいよメイン行事「インド日本寺創立50周年式典」の日。場所はブッダガヤです。まず朝に大塔へ参拝。ここは「スマホ持ち込み禁止です。カメラは50ルピー、ビデオは100ルピー」と聞き愕然。何でもテロ事件があって以来、持ち込みについてとても厳しくなったとのこと。なので大塔の写真は全く撮れませんでした…。
菩提樹前でお勤め。ここで東大寺からの団体参拝、仏教保育連盟の団体と合流して、日本寺まで行脚(徒歩)約30分。気候も道程も大したことはありませんが、日本人がぞろぞろ歩くと、当然着いてくるのが物乞いの子ども達。みんな裸足でまっすぐこちらを見て手を差し伸べます。最初は笑顔のみで返していた(顔施)のですが、それじゃ期待させてしまうと考え、彼らの将来を祈りつつ、小さくお念仏を称えて返事としていました。
日本寺は、現在「竺主」が東大寺の長老、そして駐在僧は現在いないそうです(父は5年ほど前、3か月ほど駐在僧をしていました)。佐々木先生からブッダガヤと大塔の略歴の講演があり、その後竺主・仏教興隆協会の理事長を交えて「ともに平和を願って」というテーマで鼎談。カーストとか仕返ししないとか、御釈迦様は教団を割らないことを最優先したとか、平和だから学ぶこともできる(法然上人も、木曽義仲が京都に攻め入った際には勉強を中断した)といったお話。併設の菩提樹学園(幼稚園)はカースト不問であり、ここでの経験が彼らに何かよい原体験にならんことを。
夜になって、ライトアップされた大塔へ再び参拝。やはり観光地化が進んでいる。昼間よりだいぶ人は減っているけれど、ここでスリランカからという少年僧に菩提樹の葉を渡される。「勉強したいんだけどお金がなくて」とのこと。「キャッシュないんだ」と告げ、「勉強したいならこれを」とボールペンを手渡したら喜んでいた。「あなたはタイ人みたいだね」と言われる(何を見てそう思ったのだろう)。その後、また別の子がお金をねだってきたが、最初の子が「いいんだ、この人は。あっちへ行け」という感じでたしなめてくれた。
その晩、同行の人たちとユンタク。「他国の坊さんとすれ違っても、お互い一礼だにしなかったね。同じ仏教徒だというのに」「子どもの物乞いに対してどうしたら良かったのか」など。私と同じように「最初は無視していたけれど、途中からはその子の幸せを祈って歩いていた」「ただねだるだけの子には何もしない。掃除をしていたり曲芸を見せていた子にはあげた」など、おのおのインドに肌で触れた感想と自身の行動を話し合った。
それを聞いていたガイドさん(インド人)は、「私達も、ただ追い払っているんじゃないんです。もっと真っ当な仕事をしろって怒鳴っているんです」とのこと。それが一番現実に即した対応なのかも知れない。
翌朝、朝のお勤めに出て父の分骨を納骨。今まで子どもとして色んな場所に連れてきて貰ったけれど、父の最後の旅行を私が連れてきたんだ、と思うと落涙。大好きなインドの、御釈迦様の聖地の近くに連れて行くことができ、きっと喜んでくれると確信する。メインのイベントも終わり、再びバスに6時間揺られ(本当に揺れた)、バラナシへ。現地の超高級ホテル(であろう)に宿泊。