ヤカちゃん
今日はお檀家さんの七七日忌(49日)があるのですが、お孫さんが1階で絵本を見つけて読んでいます。その声が聞こえてきて、つい嬉しくなってブログを書き始めました。
『ばんネズミのヤカちゃん』といって、住職も幼稚園の園長だった時にはよく話していたものです。
ヤカちゃんは、とても声の大きいネズミの子。静かに過ごしたい時でも、ついつい大声で周りを驚かせたり、困らせたり。しかしある晩、猫がやってきて…
番ネズミのヤカちゃん(福音館)
ヤカちゃんは普段から大声で、周りは心配していますが改めようという感じはしません。「静かにしてね」と言われても、「うん、分かったよ(大声)!」という感じ。でも、その大声が盗人を追っ払うことに繋がり、家の人にも認められる結果へつながりました。イマドキで言うなら「その子の特性を守ったことで、トラブルから回避できた」というところでしょう。
さて。ここで問題です。今の日本で、ヤカちゃんのような子がいたら、どう扱われるでしょうか?
まぁ間違いなく、そんな「個性」は矯正されますね。他の人に迷惑だからって。幼稚園とか学校でもアウトでしょう。スーパーとかにも行かれなくなるかも。図書館とかは以ての外でしょうね。
絵本の中では、ネズミの家族たちは困り顔ながらも何となく微笑ましくヤカちゃんを見ていたようですけれど、本当に「常に大声のネズミ」がいたら、発見されやすくなり命を縮めることになるでしょう。まぁ、「淘汰される」が正解ですね。
ですから。私達は、心のなかに「ヤカちゃん」を飼っておくよりないのだろうと思います。イザという時には大声を出して何らかをすることができる力を、余地を持っておく。使うのは一生に一度かも知れないけれど、その力を捨てない。大概のことは「世の中に従順に過ごす」で生きていけると思います。しかし、「心の中に刃を」じゃありませんが「ヤカちゃんを飼っている」ことは、生き延びていくために必要なのではないでしょうか。
それにしても…結構上手な読み手です。この本は声に出さないと面白さ半減です。まるで演じているかのように、ストーリーを理解して読んでいる、そんな声でした。