インド人さん来寺
先代住職はインドが大好きでした。何せ訪印40回以上。私も幼い頃、羽田空港へお見送りに行った記憶があります…
そんなご縁もあって、江戸川区のインド人さん(区議も務めたそうです)から相談があり、光圓寺にインド人さんをお迎えしました。
最初は「日本在住のインド人が集まりをしたいので、お寺の場所を使わせて貰えないか」という話でした。

もしかして、日本仏教を語ってくれとか…?ドキドキ
と思ったのですが、聞いてみると「いや、全員日本在住で、私も含め帰化している人も多いです。話は日本語で大丈夫です」とのこと。しかも、「インドの国会議員が来日するので、その人の話がメインです。教育者でもあるので、平和について語りたいそうです」と、目的が明らかになったのでした。「ただ、最大80人位かも」と…コロナ前のお施餓鬼会規模の人数です。「充分な準備はできませんが」と伝えると、「いや当方でやりますから大丈夫です」とのお返事。お受けすることにしました。
そしてしばらく経つと…「東京の大きなお寺にお参りしたいということで、大本山増上寺を紹介して貰えませんか?」となり、窓口に。
それからまた二転三転して…当日を迎えました。かなり急な話になったので、安国殿(黒本尊)と大殿のご案内ということにして、地元の先輩が執事を務めておいでですので「お時間がありましたら、お付き合いお願いします」と。
黒本尊へご案内すると、「インドのモディ首相が75歳でお誕生日なので、その健勝を祈って欲しい」とのことで、急遽短いお経を読んでいただき(初参りの方を少しお待たせしてしまいました)、「お札も欲しい」と絵馬をご案内し、「もっと大きいのがいい」とのことでお札もお願いすることになりました。ただ、「お札はご祈願しなければならないので、明日来られますか?」には無理との返答でしたので「では後日改めて」と。

そうして光圓寺に、インド人が集まりました。約30人程でしたが、当方としても初めての経験。本堂で「インドの皆さん、そしてモディ首相、今日参拝の皆さんのご健康とご先祖さまのご冥福をお祈りします」とお勤めしました。(当日は代々木公園で、インド関連の大規模イベントが行われていたそうです)。その後シタールの演奏(日本人奏者)もあり、一階で会食(軽食)となりました。

最近は「異文化との共生」が世間を賑わせておりますけれど、江戸川区には7,700人ほどのインド人が住んでいるとのこと、(ソフトウエア)エンジニアが多いこと、「インド人村を作ろうという声もあったが、阻止した」などの話を伺いました(日本語で)。お顔を見ても服装を見ても、本当に多彩。パッとイメージするインド人顔でない人たちもいらっしゃり、改めて広さと多様性を目にしました。日本に対しては一様に好意的で、「綺麗な町並みを維持していきたい」といった話もありました。
そして…増上寺で感じたのですが、「自分達の要求をグイグイ(私の主観です)伝えてくる」ということ。途中で「このままイエスばっかりじゃダメだ」と気づき、「ノー。だめです」をしっかり伝えなきゃと気づいたのでした。

多分、それが(インド)世界の標準なのでしょうね。都度の行動は、都度の話し合いで決める。こちらがダメと言っても別に嫌がったり悲しがる訳でもなく、「オーケー」と返ってくる。これがタフということか…と思いつつ、父が「インドでは何でも議論の種になる。一日中議論している連中が一杯いる」と話していたのを思い出しました。

先代がご存命なら、さぞ喜んだだろうね。
はい…。本当にそう思います。その晩、お仏壇に向かって報告しましたよ。「どうだ、面白かっただろう。みんな悪気はないんだ。だけど、”こっちはお前に徳を積ませてやっている”と思っていることもあるから、慣れていけよ」と言われたような気がします。
まとめと展望
今後も日本の移民政策は進んでいくことでしょう。町で外国人を見かける機会も本当に多くなりました。日本人のパスポート所持率は17%(低い。コロナ以降下がっている)とも言われます。無闇に怖がる必要はないけれど、「ノーはノー。それで気持ちは傷つかない」ことを心に刻んだのでした。
サムネイルのターバン姿はAIによる作成です。シーク教徒は「髪の毛を切ってはいけない」ゆえのターバンですので、「まぁ、お坊さんと反対!」とか思いました。あとみんな、撮影大好き!これはアジア人全般そんな感じですね。撮ってどうするんだろう…。