払子(ほっす)雑記
今日、ご法事のあとで、「ちょっと聞いてもいいですか?」と声をかけられました。「あの、最初に振っていたものは、魔除けか何かでしょうか?」「はい、もともとはインドでお供え物にたかる虫を払っていたそうです。」「何の毛でできているんですか?」「さぁ、実は知らないんです。結構硬い感じがしますが」と、払子についてお話をしました。
その方は、お若い頃にアフリカへ行っていた時期があり、そちらで似たような道具を見たことがあり、お土産にも買ってきたと。そちらはヤギのしっぽだったそうです。
アフリカ!私にとっては全くと言ってよいほどの未知のエリアです。何やらアーティストの雰囲気を醸し出している方ですが、冒険旅行か取材かしら?
全くあんたは。その視線は他人扱いだな。お父さんに伺ったら、楽器を学びに行っていたそうだよ。
なるほど。でも質問に答えられないのも申し訳ないので、便利に調べてみましたよ。ちょっと列記します。
- 虫を殺さずに追い払う道具である。
- (よくあることだが)時代や場所によって意味合いは多岐にわたる。
- 毛の材料は鹿・馬・牛などの(身近な)動物が多く、ただ「ヤク」は日本では珍重されたようだ。
- 高価な材料や珍獣の使用は禁止されていた。他人に盗みを働かせないため。
なるほど、歴史の変遷もあり、しかし形には意図が込められているのですね。「殺さないための道具だ」とか「ヤク払い」とかも含めて。また、まさしく現代のあり方として、フリマサイトで売られていたりしたのも発見しました(苦笑)。
実は払子には特別な思い出があります。
私が小学校の頃、父が初めてテレビに出て、その内容が「払子を紹介する」というものでした。
その中で彼が「もともとは虫を払うのに使ったのでしょうね」と言っていて衝撃でした。私にとっては「儀礼で災厄を払うための道具」と思っていたのがハエたたきみたいなものだったなんて…。それで覚えていたのです。
また、ブラウン管の中に父がいるのはなんとも不思議で、出始めのビデオ(ベータ方式でした)に録画して大切にとってありました。もう40年位前でしょうから、現在の私よりも若かったはずです。
そういったことを思い出させてくれた、貴重な質問だったわけだね。よろず聞いてみる・尋ねてみることは大事だね。相手に「私はこれに興味があります」も伝わるし。