できないから
インターネットの相談ではなく、電話相談をいただいた中で、いつのものだったか忘れてしまいましたが印象的なお話があったので書かせていただきます。
子供が小学生の時に、母親である自分が難病になり、人並みの子育てができなくなってしまった。けれど、その中で出来ることを、と考えて「自分が正しいと思ったことをしなさい。自分で決めて行動しなさい」と教えてきました。結果、息子は自立できたようです。友達にも恵まれ、自分で決めて勉強もしています。人並みのことを諦めたら、却って子育てがうまくいった気がします。不思議なものですね。
形としては「相談活動」なのですから何らかの疑問とか課題があったと思うのですが、そちらは忘れてしまいました。でも「人並みを諦めたらうまく行った気がする」というのは本当に印象的です。どなたであっても人間ですから、子育てと言っても100%子どものためだけを考えて行動しているのではないでしょう。「育てる方にも都合がある」という訳です。
けれども、この方は病気によって却って「100%子どものことを考える」に至ったように思います。情けなさや申し訳ない気持ちもあったかも知れませんが、「今この状態で、子どもにしてあげられる最上のものは何だろうか」と振り絞った結果であるようにも思います。
子育ては、誰が行っても個性があるものですから偏りを生みます。また「子育てで親が倒れるわけにもいかない」ため、ピュアでないことも生じるでしょう。私達はせめて、その「自分の子育てには偏りがある」ことを知り、より多くの価値観に子どもを触れさせていくのが、特に「子育ての仕上げ」には必要な気がします。